あへんをのむびしょうねん
鴉片を喫む美少年

冒頭文

1 (水戸の武士早川弥五郎が、清国上海(シャンハイ)へ漂流し、十数年間上海に居り、故郷の友人吉田惣蔵へ、数回長い消息をした。その消息を現代文に書きかえ、敷衍し潤色したものがこの作である。——作者附記) 友よ、今日は「鴉片を喫む美少年」の事について消息しよう。 鴉片戦争も酣(たけなわ)となった。清廷の譎詐(きっさ)と偽瞞とは、云う迄もなくよくないが、英国のやり口もよくないよ。

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール読物」1931(昭和6)年12月

底本

  • 国枝史郎伝奇全集 巻六
  • 未知谷
  • 1993(平成5)年9月30日