あかごうしくろうえもんのむすめ |
赤格子九郎右衛門の娘 |
冒頭文
何とも云えぬ物凄い睨視! 海賊赤格子九郎右衛門が召捕り処刑になったのは寛延(かんえん)二年三月のことで、所は大阪千日前、弟七郎兵衛、遊女かしく、三人同時に斬られたのである。訴え人は駕籠屋重右衛門。実名船越重右衛門と云えば阿波の大守蜂須賀侯家中で勘定方をしていた人物、剣道無類の達人である。 係りの奉行はその時の月番東町奉行志摩長門守(ながとのかみ)で捕方与力は鈴木利右衛門であった。
文字遣い
新字新仮名
初出
「ポケット」1925(大正14)年2月~3月
底本
- 国枝史郎伝奇全集 巻6
- 未知谷
- 1993(平成5)年9月30日