げさくしゃ
戯作者

冒頭文

初対面 「あの、お客様でございますよ」 女房のお菊(きく)が知らせて来た。 「へえ、何人(だれ)だね? 蔦屋(つたや)さんかえ?」 京伝(きょうでん)はひょいと眼を上げた。陽あたりのいい二階の書斎で、冬のことで炬燵(こたつ)がかけてある。 「見たこともないお侍様で、滝沢(たきざわ)様とか仰有(おっしゃ)いましたよ。是非ともお眼にかかりたいんですって?」 「敵討ちじゃある

文字遣い

新字新仮名

初出

「サンデー毎日」1925(大正14)年4月1日春季特別号

底本

  • 国枝史郎伝奇全集 巻五
  • 未知谷
  • 1993(平成5)年7月20日