なんばんひわもりうこんまる
南蛮秘話森右近丸

冒頭文

1 「将軍義輝(よしてる)が弑(しい)された。三好長慶(ちょうけい)が殺された、松永弾正(だんじょう)も殺された。今は下克上の世の中だ。信長が義昭を将軍に立てた。しかし間もなく追って了(しま)った。その信長も弑されるだろう。恐ろしい下克上の世の中だ……明智光秀には反骨がある。羽柴秀吉は猿智慧に過ぎない。柴田勝家(かついえ)は思量に乏しい。世は容易に治まるまい……武田家は間もなく亡びるだろう。波多

文字遣い

新字新仮名

初出

「少女倶楽部」1927(昭和2)年4月~10月

底本

  • 国枝史郎伝奇全集 巻三
  • 未知谷
  • 1993(平成5)年3月20日