めいじかいか あんごとりもの 04 そのさん まきょうのかい
明治開化 安吾捕物 04 その三 魔教の怪

冒頭文

秋雨の降りしきる朝。海舟邸の奥の書斎で、主人と対坐しているのは泉山虎之介。訪客のない早朝を見すまして智恵をかりにきたのであるが、手帳をあちこちひッくりかえして、キチョウメンに書きこんだメモと首ッぴきに、入念に考えこんでは説明している。後先をとりちがえないためである。 「本件に先立ちまして、昨年暮に突発いたした奇怪事から申上げなければなりません。御記憶かと思いますが、昨年十二月十六日、茗荷谷(

文字遣い

新字新仮名

初出

「小説新潮 第四巻第一三号」1950(昭和25)年12月1日

底本

  • 坂口安吾全集 10
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年11月20日