わがじんせいかん 05 (ご) こくほうしょうぼうけっこうろん
我が人生観 05 (五)国宝焼亡結構論

冒頭文

小生もついに別荘の七ツ八ツ風光明媚なるところにブッたてようという遠大千万なコンタンによって「捕物帳」をかくことゝなり、小説新潮の案内で、箱根の谷のドン底の温泉旅館へ行った。 このへんは谷川といっても川の趣きではなくて、流れの全部が段をなした瀑布であり、四方にはホンモノの数百尺の飛瀑も落下している。音があると思う人には、これぐらいウルサクて頭痛の種のところもないかも知れないが、無神経の私に

文字遣い

新字新仮名

初出

「新潮 第四七巻第一〇号」1950(昭和25)年10月1日

底本

  • 坂口安吾全集 09
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年10月20日