あんごこうだん 12 こうだんしたいじょう
安吾巷談 12 巷談師退場

冒頭文

巷談の十二は「京の夢、大阪の夢」京都大阪をひやかしてスゴロクの上りにしようという予定であった。春のうちからこの上りだけはきまっていて、国内航空路が年内に開通するかも知れんという新聞記事などを見るにつけて、京大阪へ空から乗りつけてやろうなどと内々ハリキッていたのである。 浮世はままならぬもので、連載の新聞小説チチとしてはかどらず、ようやく筆をおいたのが十月十七日午前九時半。京大阪へでかける

文字遣い

新字新仮名

初出

「文藝春秋 第二八巻第一六号」1950(昭和25)年12月1日

底本

  • 坂口安吾全集 08
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年9月20日