あんごこうだん 09 でんえんハレム
安吾巷談 09 田園ハレム

冒頭文

大戦争のあとというものは何がとびだすか見当がつかない。日本全土の主要都市が焼野原だから、どういう妖怪変化がとびだしても不似合ということはない。 覚悟はしていたことだから、パンパンやオカマや集団強盗など月並であったが、アロハにはおどろいた。 なにぶん、アロハというものは、妖怪として登場したものではない。ともかく焼跡にも建設的な気風が起り、いたずらに戦争の惨禍を身につけてデカダンス

文字遣い

新字新仮名

初出

「文藝春秋 第二八巻第一二号」1950(昭和25)年9月1日

底本

  • 坂口安吾全集 08
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年9月20日