あんごこうだん 06 とうきょうジャングルたんけん
安吾巷談 06 東京ジャングル探検

冒頭文

わが経来りし人生を回想するという年でもないが、子供のころは類例稀れな暴れん坊で、親を泣かせ、先生を泣かせ、郷里の中学を追いだされて上京しても、入れてくれる学校を探すのに苦労した。私が苦労したわけではないが、親馬鹿というもので、私はだいたい学校というものにメッタに顔をださなかった。たまに顔をだすと、たちまち、先生と追いつ追われつの活躍となり、しかし結局先生を組み伏せるのは私の方であるし、当人の身にも

文字遣い

新字新仮名

初出

「文藝春秋 第二八巻第七号」1950(昭和25)年6月1日

底本

  • 坂口安吾全集 08
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年9月20日