あんごこうだん 01 まやく・じさつ・しゅうきょう
安吾巷談 01 麻薬・自殺・宗教

冒頭文

伊豆の伊東にヒロポン屋というものが存在している。旅館の番頭にさそわれてヤキトリ屋へ一パイのみに行って、元ダンサーという女中を相手にのんでいると、まッ黒いフロシキ包み(一尺四方ぐらい)を背負ってはいってきた二十五六の青年がある。女中がついと立って何か話していたが、二人でトントン二階へあがっていった。 三分ぐらいで降りて戻ってきたが、男が立ち去ると、 「あの人、ヒロポン売る人よ。一箱百

文字遣い

新字新仮名

初出

「文藝春秋 第二八巻第一号」1950(昭和25)年1月1日

底本

  • 坂口安吾全集 08
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年9月20日