こううんりゅうすい
行雲流水

冒頭文

「和尚さん。大変でございます」 と云って飛びこんできたのは、お寺の向いの漬物屋のオカミサンであった。 「何が大変だ」 「ウチの吾吉の野郎が女に惚れやがったんですよ。その女というのが、お寺の裏のお尻をヒッパタかれたあのパンスケじゃありませんか。情けないことになりやがったもんですよ。私もね、吾吉の野郎のお尻をヒッパタいてくれようかと思いましたけどネ。マア、和尚さんにたのんで、あの野郎に説

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール読物」1949(昭和24)年9月1日

底本

  • 坂口安吾全集 08
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年9月20日