ごせいげん
呉清源

冒頭文

私は呉清源(ごせいげん)と二度しか会ったことがない。この春、月刊読売にたのまれて、呉清源と五子で対局した。五子は元々ムリなのだが、私も大いに闘志をもやしたせいか、呉氏を攻めて、呉氏の方が私よりも長考するような場面が現れ、こう考えられては、私の勝てる筈はない。アッサリ打棄(うっちゃ)られたが、私のヘボ碁には出来すぎた碁で、黒白童子や覆面子を感心させ、呉氏もほめていたそうだ。 この時も、然し

文字遣い

新字新仮名

初出

「文学界 第二巻第一〇号」1948(昭和23)年10月1日

底本

  • 坂口安吾全集 07
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年8月20日