「はな」のかくりつ
「花」の確立

冒頭文

文学も勿論さうだが、生活も、元来が平時のものである。戦争は特殊な過渡期で、いはゆる非常時だから、戦場に文学はないし、また生活もないと思ふ。 戦勝後の国力の増大、また個人生活の増大、文化も文学も、本来そこに結びついてゐるものだ。 戦前の日本は、なんといつても生活程度が低かつた。日本人は最も素質ある国民で、観念生活は豊富であるにも拘らず、生活程度がそれにともなはないために、生活感情

文字遣い

新字旧仮名

初出

「読売新聞 第二二一九八号第一夕刊」1938(昭和13)年11月15日

底本

  • 坂口安吾全集 02
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年4月20日