あんごむしゃしゅぎょう まにわねんりゅうほうもんき
安吾武者修業 馬庭念流訪問記

冒頭文

立川文庫の夢の村 私たちの少年時代には誰しも一度は立川文庫というものに読みふけったものである。立川文庫の主人公は猿飛佐助、百地三太夫、霧隠才蔵、後藤又兵衛、塙(ばん)団右衛門、荒川熊蔵などという忍術使いや豪傑から、上泉伊勢守、塚原卜伝、柳生十兵衛、荒木又右衛門などの剣客等、すべて痛快な読み物である。子供たちはそれぞれヒイキがあった。私は猿飛佐助が一番好きであったが、剣術使いの方では主人公では

文字遣い

新字新仮名

初出

「講談倶楽部 第六巻第五号」1954(昭和29)年4月1日

底本

  • 坂口安吾全集 14
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年6月20日