りんしょくしんのやど じんせいオペラ だいにかい
吝嗇神の宿 人生オペラ 第二回

冒頭文

新宿御苑に沿うた裏通り。焼け残った侘しい長屋が並んでいる。とみると、その長屋の一部を改造し、桃色のカーテンをたらしてネオンをつけたバーもある。ドロボー君はその隣の長屋を指して、 「あの二階がオレの女のアパートだ」 はなはだ御自慢の様子である。長屋の二階に外部から階段をとりつけ、階下を通らずに行けるようになっている。至って人通りが少く、しかもアイマイ宿のような酒場も点在しているから深夜や

文字遣い

新字新仮名

初出

「小説新潮 第七巻第一一号」1953(昭和28)年9月1日

底本

  • 坂口安吾全集 14
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年6月20日