まにわねんりゅうのこと
馬庭念流のこと

冒頭文

剣法というのは元来貴人に依存してきたもので、剣士は将軍や大名に召抱えられることを目標に修業に励んだものである。 ところがここにただ一ツ在野の剣法というものがあった。それが馬庭念流(まにわねんりゅう)だ。 代々草ぶかい田舎に土着して、師弟ともに田を耕しつつ先祖からの剣法を修業し、官に仕えることも欲せず、名利ももとめない。さればといって剣を力に、徒党をくんで事をはかるようなことはミ

文字遣い

新字新仮名

初出

「上毛警友 第八巻第四号」国家地方警察群馬県本部警務部、1953(昭和28)年4月1日

底本

  • 坂口安吾全集 14
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年6月20日