にごうごしゃくにかんするあいこくてきこうさつ
二合五勺に関する愛国的考察

冒頭文

元和寛永のころというと、今から三百二三十年前のことだが、切支丹(キリシタン)が迫害されておびたゞしい殉教者があったものだ。幕府の方針は切支丹を根絶しようというのだが、みんな殺そうというのではないので、転向すれば即座にかんべんしてくれるのだから、ひところの共産党の弾圧よりもらくだ。転向してもまだ何年か牢屋に入れておくということはやらぬ。そのかわり転向しないと必ず殺す。懲役二十年、十五年などとこまかく

文字遣い

新字新仮名

初出

「女性改造 第二巻第二号」1947(昭和22)年2月1日

底本

  • 坂口安吾全集 04
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年5月22日