げさくしゃぶんがくろん ――ひらのけんへ・てがみにかえて――
戯作者文学論 ――平野謙へ・手紙に代へて――

冒頭文

この日記を発表するに就ては、迷つた。書く意味はあつたが、発表する意味があるかどうか、疑つた。 この日記を書いた理由は日記の中に語つてあるから重複をさけるが、私が「女体」を書きながら、私の小説がどういふ風につくられて行くかを意識的にしるした日録なのである。私は今迄日記をつけたことがなく、この二十日間ほどの日記の後は再び日記をつけてゐない。私のやうにその日その日でたとこまかせ、気まぐれに、全く無計

文字遣い

新字旧仮名

初出

「近代文学 第二巻第一号」1947(昭和22)年1月1日

底本

  • 坂口安吾全集 04
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年5月22日