ヒンセザレバドンス
ヒンセザレバドンス

冒頭文

私と貧乏とは切れない縁にあり、この関係は生涯変らざるものであらう。私は三日間ぐらゐ水だけ飲んでゐたことが時々あり、あたりまへにしてをればそんな苦労をする必要はないので、身からでた錆だと友達は言ふ、その通りで、人並に暮す金はあつたが、一ヶ月の生計を一夜で浪費してしまふから困るだけの話で、だから私は貧乏で苦しんでもわが身を呪つたことはない。私は細々と長く、といふことの出来ない性分だから、三日ぐらゐづつ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「プロメテ 創刊号」大地書房、1946(昭和21)年11月1日

底本

  • 坂口安吾全集 04
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年5月22日