ごらくほうしのこころがまえ
娯楽奉仕の心構へ

冒頭文

いつぞや「近代文学」の人たちに、君たちの雑誌は肩が凝つて仕様がないが詰碁と詰将棋を載せてくれないかナ、と言つて、平野謙に叱られた。これは一場の冗談だけれども、又、冗談とばかりも限らず、「近代文学」は詰碁、詰将棋でもなくては退屈千万だ。 たとへば、理学、工学、化学、医学、農学、美術、音楽などのそれぞれ最も専門的な純学術雑誌に詰碁や詰将棋が載つたらどうだらう。別に学術雑誌のダラクだなどと言は

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文学界 第一卷第五号」1947(昭和22)年11月1日

底本

  • 坂口安吾全集 05
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年6月20日