すいりしょうせつについて |
推理小説について |
冒頭文
探偵小説の愛好者としての立場から、終戦後の二、三の推理小説に就て、感想を述べてみよう。 横溝正史氏の「蝶々殺人事件」は終戦後のみならず、日本における推理小説では最も本格的な秀作で、大阪の犯行を東京の犯行と思わせるトリック、そのトリックを不自然でなく成立せしめる被害者のエキセントリックな性格の創造、まことによく構成されておって、このトリックの点では世界的名作と比肩して劣らぬ構成力を示してい
文字遣い
新字新仮名
初出
「東京新聞 第一七八一号、一七八二号」1947(昭和22)年8月25日、26日
底本
- 坂口安吾全集 05
- 筑摩書房
- 1998(平成10)年6月20日