じゃきょうもんどう |
邪教問答 |
冒頭文
璽光(じこう)様の話がでるとみんなが笑う。双葉山が小娘の指一本でひっくりかえったり、世直しの後には璽光内閣の厚生大臣であったり、京浜地方へ落ちるはずの神罰大天災が一向に起らなかったり、愛きょうがある。 けれども璽光様ははじめから邪教の様式で登場したからお笑い草ですんでいるだけのことで、人ごとではない、璽光様はわれわれの心に住んでいるのである。 大東亜戦争という、これが璽光様にほ
文字遣い
新字新仮名
初出
「夕刊北海タイムス」1947(昭和22)年7月20日
底本
- 坂口安吾全集 05
- 筑摩書房
- 1998(平成10)年6月20日