たいもうをいだくかっぱ
大望をいだく河童

冒頭文

昔、池袋にすんでいたころ、小学校の生徒に頻りに敬礼されて、その界隈を遠廻りに敬遠して歩かねばならなくなったが、僕に似た先生がいたに相違ない。 戦争中、神田の創元社へよく遊びにでかけたが、日大生に時々敬礼された。何先生が僕に似ているのか気にかかった。 まだ焼けて幾日にもならぬ高田馬場駅で、夜であったが、軍服の青年(将校らしい)に挨拶され、第二高等学院の何々先生ではありませんか、とこれは明らか

文字遣い

新字新仮名

初出

「アサヒグラフ 第四八巻第三号」1947(昭和22)年7月16日

底本

  • 坂口安吾全集 05
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年6月20日