ぞくぶつせいとさっか
俗物性と作家

冒頭文

(上) 先日高見順君の文芸時評に私の「逃げたい心」の序文の文章をとりあげて、作家は外部条件に左右されて、作品が書けたり書けなかったりするようではダメなので、作品は作家が書くべきもの、「もっとマシな作品」が書けるはずで、書けなかったなどというのはウソだ。能力がないから書けないだけだ、と言っているが、果してそんなものか、文学とか人生というものがそんなに必然的に動いて行ってくれるものか、これは高見

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京新聞 第一六九一号」1947(昭和22)年5月27日

底本

  • 坂口安吾全集 05
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年6月20日