れんあいろん
恋愛論

冒頭文

恋愛とはいかなるものか、私はよく知らない。そのいかなるものであるかを、一生の文学に探しつづけているようなものなのだから。 誰しも恋というものに突きあたる。あるいは突きあたらずに結婚する人もあるかもしれない。やがてしかし良人(おっと)を妻を愛す。あるいは生れた子供を愛す。家庭そのものを愛す。金を愛す。着物を愛す。 私はフザけているのではないゝ。 日本語では、恋と、愛とい

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人公論 第三巻第四号」1947(昭和22)年4月1日

底本

  • 坂口安吾全集 05
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年6月20日