ほんいんぼう・ごせいげんじゅうばんごかんせんき
本困坊・呉清源十番碁観戦記

冒頭文

上 対局前夜、夕方六時、対局所の小石川もみじ旅館に両棋士、僕、三人集合、宿泊のはずであった。翌日の対局開始が、朝九時、早いからである。 僕が第一着、六時五分也。本因坊、六時五十分。さて、あとなる、呉氏が大変である。 ジコーサマの一行が呉氏応援に上京し、呉氏の宿所へ、すみこんだ。すみこむだけならよかったのだが、即ち、これ宗教なり、よってオイノリをやる、一日中、やるのである。

文字遣い

新字新仮名

初出

「読売新聞 第二五六九二号、第二五六九三号」1948(昭和23)年7月8日、7月8日

底本

  • 坂口安吾全集 06
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年5月22日