たんていしょうせつをきる
探偵小説を截る

冒頭文

私は探偵小説をよむと、みんな同じ書き方をしているので、まずウンザリする。洋の東西を問わず、本格推理小説となると、みんな形式が同一である。 先ず第一に名探偵が現れる。この名探偵がいかにも思い入れよろしく、超人的にピタリ〳〵とおやりになる。すると、対照的にトンマな警部とか、探偵とかゞ現れて、この御両人の角(つの)突き合いが小説の半分ぐらい占めているというアンバイである。 私は探偵小

文字遣い

新字新仮名

初出

「黒猫 第二巻第九号」1948(昭和23)年7月1日

底本

  • 坂口安吾全集 06
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年5月22日