けいごろん
敬語論

冒頭文

インドの昔に学者が集って相談した。どうも俗人どもと同じ言葉を使ったんじゃ学問の尊厳にかゝわる。学者は学者だけの特別な言葉を使わなければならぬ。そこでそのころのインドの俗語(パーリ語という)を用いないことにして、学者だけの特別の言葉をつくった。これをサンスクリット(梵語)と称するのである。又、近世に於ては、国際間に共通の言葉がなければならぬというので、ラテン語をもとにしてエスペラントというものができ

文字遣い

新字新仮名

初出

「文藝春秋 第二六巻第七号」1948(昭和23)年7月1日

底本

  • 坂口安吾全集 06
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年5月22日