ニューフェイス
ニューフェイス

冒頭文

前頭ドンジリの千鳥波五郎が廃業してトンカツ屋を開店することになったとき、町内の紺屋へ頼んだノレンが届いてみると「腕自慢、江戸前トンカツ、千鳥足」と意気な書体でそめあげてある。 千鳥波が大変怒ってカケアイに行くと、紺屋のサブチャンが、呆れて、 「アレ、変だねエ。だって、お前がそう頼んだんじゃないか」 「からかっちゃ、いけないよ。ワタシはね、怒髪天をついているんだよ。痩せても枯れても

文字遣い

新字新仮名

初出

「小説と読物 第三巻第七号」桜菊書院、1948(昭和23)年7月1日

底本

  • 坂口安吾全集 06
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年5月22日