こうきにかえて〔『きょうそのぶんがく』〕
後記にかえて〔『教祖の文学』〕

冒頭文

私は社会人としての自我というものを考えるから、政治についても考えるけれども、政治家にはなる筈のない生れつきである。 私は今の世に生れたから文士になったが、昔の世に生れても、決して大名貴人になろうとか、天下の豪傑になろうとは思わず、琵琶法師とか遊吟詩人というようなものになったろうと思う。 尤も私も子供の頃には軍人だの坊主になろうと考えたから、天下の豪傑や高僧になろうと試みるかも知

文字遣い

新字新仮名

初出

「教祖の文学」草野書房、1948(昭和23)年4月20日

底本

  • 坂口安吾全集 06
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年5月22日