てんのうへいかにささぐることば |
天皇陛下にさゝぐる言葉 |
冒頭文
天皇陛下が旅行して歩くことは、人間誰しも旅行するもの、あたりまえのことであるが、現在のような旅行の仕方は、危険千万と言わざるを得ない。 「真相」という雑誌が、この旅行を諷刺して、天皇は箒(ほうき)である、という写真をのせたのが不敬罪だとか、告訴だとか、天皇自身がそれをするなら特別、オセッカイ、まことに敗戦の愚をさとらざるも甚しい侘しい話である。 私は「真相」のカタをもつもので、天皇陛下
文字遣い
新字新仮名
初出
「風報 第二巻第一号」1948(昭和23)年1月5日
底本
- 坂口安吾全集 06
- 筑摩書房
- 1998(平成10)年5月22日