ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件

冒頭文

一 俗悪千万な人間関係 昭和二十二年六月の終りであった。私は歌川一馬の呼びだしをうけて日本橋のツボ平という小料理屋で落ちあった。ツボ平の主人、坪田平吉は以前歌川家の料理人で、その内儀テルヨさんは女中をしていた。一馬の親父の歌川多門という人は、まことに我ままな好色漢で、妾(めかけ)はある、芸者遊びもするくせに、女中にも手をつける。テルヨさんは渋皮のむけた可愛いい顔立だからむろん例外ではなく、その代

文字遣い

新字新仮名

初出

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

底本

  • 坂口安吾全集11
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1990(平成2)年7月31日