『かげろうのにっき』かいせつ
『かげろふの日記』解説

冒頭文

堀君 一 唐松の遅き芽ぶきの上を 夏時雨 はるかに過ぎて—— 黄にけぶる 山の入り日     堀君 二 冬いまだ 寝雪いたらず しづかに澄む 水音。 君ねむる。五分 十分——。 ほのかなる けはひののちに、 おのづから 眶をひらく。 日のあたる明り障子 たゞ白じろと ひろがり 見し夢の かそかなる思ひに つゞく     堀君 三 みつまた

文字遣い

新字旧仮名

初出

堀辰雄著「かげろふの日記・曠野」解説、1951(昭和26年)年7月

底本

  • 折口信夫全集 32
  • 中央公論社
  • 1998(平成10)年1月20日