『でんせつのじだい』じょ
『伝説の時代』序

冒頭文

私はあなたが家事の暇を偸(ぬす)んで『傳説の時代』をとう〳〵仕舞(しまひ)迄(まで)譯し上げた忍耐と努力に少からず感服して居ります。書物になつて出ると餘程(よほど)の頁數になるさうですが嘸(さぞ)骨の折れた事でせう。原書は私の手元にもあるから承知してゐますが、一寸(ちよつと)見ると四六版の小形の册子に過ぎませんけれども、活字は細(こま)かし、上下は詰つてゐるし、讀むのにさへ隨分(ずいぶん)の時間は

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「傳説の時代」尚文堂、1913(大正2)年

底本

  • ギリシア・ローマ神話
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1978(昭和53)年8月16日改版