ぶんげいはだんしいっしょうのじぎょうとするにたらざるか
文芸は男子一生の事業とするに足らざる乎

冒頭文

文芸が果(はた)して男子一生の事業とするに足るか何(ど)うかと云うことに答える前に、先(ま)ず文芸とは如何(いか)なるものであるか、と云うことを明かにしなければならぬ。文芸も見ように依って色々に見られるから、足るか足らぬかと争う前に、先(ま)ず相互の間に文芸とは如斯(かくのごとき)ものであると定めてかからねばなるまい。自分の云う文芸とは斯(こ)う云うものである。貴方(あなた)の云う文芸とは然(そ)

文字遣い

新字新仮名

初出

「新潮」1908(明治41)年11月1日号

底本

  • 筑摩全集類聚版 夏目漱石全集 10
  • 筑摩書房
  • 1972(昭和47)年1月10日