みずのおんな
水の女

冒頭文

一 古代詞章の上の用語例の問題 口頭伝承の古代詞章の上の、語句や、表現の癖が、特殊な——ある詞章限りの——ものほど、早く固定するはずである。だから、文字記録以前に既にすでに、時代々々の言語情調や、合理観が這入つて来る事を考へないで、古代の文章及び、其から事実を導かうなどゝする人の多いのは、——さうした人ばかりなのは——根本から、まちがうた態度である。 神聖観に護られて、固定のまゝ或は拗曲し

文字遣い

新字旧仮名

初出

「民族 第二巻第六号」1927(昭和2年)年9月、「民族 第三巻第二号」1928(昭和3年)年1月

底本

  • 折口信夫全集 2
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年3月10日