しんとうのしてきかち
神道の史的価値

冒頭文

長い旅から戻つて顧ると、随分、色んな人に逢うた。殊に為事の係りあひから、神職の方々の助勢を、煩すことが多かつた。中にはまだ、昔懐しい長袖らしい気持ちを革めぬ向きもあつたが、概して、世間の事情に通暁した人々の数の方が、どらかと言へば沢山であつたのには、実際思ひがけぬ驚きをした。此ならば「神職が世事に疎い。頑冥固陋で困る」など言ひたがる教訓嗜きの人々の、やいた世話以上の効果が生じて居る。而も、生じ過ぎ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「皇国 第二百七十九号」1922(大正11)年2月

底本

  • 折口信夫全集 2
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年3月10日