こだいせいかつのけんきゅう とこよのくに
古代生活の研究 常世の国

冒頭文

一 生活の古典 明治中葉の「開化」の生活が後ずさりをして、今のあり様に落ちついたのには、訣がある。古典の魅力が、私どもの思想を単純化し、よなげて清新にすると同様、私どもの生活は、功利の目的のついて廻らぬ、謂はゞむだとも思はれる様式の、由来不明なる「為来(シキタ)り」によつて、純粋にせられる事が多い。其多くは、家庭生活を優雅にし、しなやかな力を与へる。門松を樹(タ)てた後の心持ちのやすらひを考へて

文字遣い

新字旧仮名

初出

「改造 第七巻第四号」1925(大正14)年4月

底本

  • 折口信夫全集 2
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年3月10日