ごろつきのはなし
ごろつきの話

冒頭文

一 ごろつきの意味 無頼漢(ゴロツキ)などゝいへば、社会の瘤のやうなものとしか考へて居られぬ。だが、嘗て、日本では此無頼漢が、社会の大なる要素をなした時代がある。のみならず、芸術の上の運動には、殊に大きな力を致したと見られるのである。 ごろつきの意味に就ては、二様に考へられてゐる。雷がごろ〳〵鳴るやうに威嚇して歩くからだともいふが、事実はさうでなく、石塊がごろ〳〵してゐるやうな生活をしてゐる者

文字遣い

新字旧仮名

初出

「民俗芸術 第一巻第八・九号」1928(昭和3)年8、9月

底本

  • 折口信夫全集 3
  • 中央公論社
  • 1995年4月10日