はちまきのはなし
はちまきの話

冒頭文

一 現在の事物の用途が、昔から全く変らなかつた、と考へるのは、大きな間違ひである。用途が分化すれば、随つて、其意味もだん〴〵変化して来る。はちまきの話は、ちようど此を説明するに、よい例になるだらうと思ふ。 さて、はちまきは、どういふ処から出たか、と今更らしく言ふまでもないが、被りものゝはちまきに到るまでに、幾度かの変遷を経てゐる。はちまき・手拭ひなどは、もとは一つもので、更にはちまきは、頭に巻

文字遣い

新字旧仮名

初出

「考古学会例会講演」1926(大正15)年6月

底本

  • 折口信夫全集 3
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年4月10日