おきなのはっせい
翁の発生

冒頭文

一 おきなと翁舞ひと 翁の発生から、形式方面を主として、其展開を考へて見たいと思ひます。しかし個々の芸道特有の「翁」については、今夜およりあひの知識の補ひを憑む外はないのであります。翁芸を飛躍させたのは、猿楽であります。翁が、田楽の「中門口(チユウモングチ)」に相当する定式の物となつた筋道が、幾分でも訣つて貰へるやうに致したいと存じます。 おきなと言ふ語(ことば)は、早くから芸能の上に分化した

文字遣い

新字旧仮名

初出

「民俗芸術 第一巻第一・三号」1928(昭和3年)年1月・3月

底本

  • 折口信夫全集 2
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年3月10日