あいごのわか
愛護若

冒頭文

一 若の字、又稚(ワカ)とも書く。此伝説は、五説経の一つ(この浄瑠璃を入れぬ数へ方もある)として喧伝せられてから、義太夫・脚本・読本(ヨミホン)の類に取り込まれた為に、名高くなつたものであらうが、あまりに末拡がりにすぎて、素朴な形は考へ難くなつてゐる。併し、最流行の先がけをした説経節の伝へてゐるものが、一番原始に近い形と見て差支へなからう。 何故ならば、説経太夫の受領は、江州高観音近松寺(ごん

文字遣い

新字旧仮名

初出

「土俗と伝説 第一巻第一―三号」1918(大正7年)8月~10月

底本

  • 折口信夫全集 2
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年3月10日