それから
それから

冒頭文

一の一 誰(だれ)か慌(あは)たゞしく門前(もんぜん)を馳(か)けて行く足音(あしおと)がした時、代助(だいすけ)の頭(あたま)の中(なか)には、大きな俎下駄(まないたげた)が空(くう)から、ぶら下(さが)つてゐた。けれども、その俎(まないた)下駄は、足音(あしおと)の遠退(とほの)くに従つて、すうと頭(あたま)から抜(ぬ)け出(だ)して消えて仕舞つた。さうして眼(め)が覚めた。

文字遣い

新字旧仮名

初出

「東京朝日新聞」、「大阪朝日新聞」1909(明治42)年6月27日〜10月4日

底本

  • 漱石全集 第六巻
  • 岩波書店
  • 1994(平成6)年5月9日