たかしまいし |
| 高島異誌 |
冒頭文
妖僧の一泊 「……ええと、然らば、匁という字じゃ、この文字の意義ご存知かな?」 本条純八はやや得意気に、旧(ふる)い朋友の筒井松太郎へ、斯う改めて訊いて見た。二人は無聊のつれづれから、薄縁(うすべり)を敷いた縁側へ、お互にゴロリと転りながら、先刻から文字の穿鑿(せんさく)に興じ合っているのであった。 「匁という文字の意義でござるか? いやいや拙者不案内でござるよ」 松太郎は指で額を叩き、苦笑しな
文字遣い
新字新仮名
初出
「講談雑誌」1924(大正13)年7月
底本
- 妖異全集
- 桃源社
- 1975(昭和50)年9月25日