ぶんがくをめづるこころ
文学を愛づる心

冒頭文

文學を愛でゝめで痴れて、やがて一生を終へようとして居る一人の、追憶談に過ぎぬかも知れない。        * 文學をめでゝ愛で痴れて、而も其愛好者の一生が、何の變化も受けなかつたものとすれば、その文學がよほど、質の違つたものだつたと考へてよい。さうでなければ、その人が變質的に隨分強靱な心を持つてゐたと言ふことになる。所謂文學の惡影響と言ふこともあるにはある。此は考へて見ねばならぬことだ。文學を

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「生活文化 第七巻第十號」1946(昭和21年)11月

底本

  • 折口信夫全集 第廿七巻
  • 中央公論社
  • 1968(昭和43)年1月25日