EN JA
PTHREAD_ATTR_SETGUARDSIZE(3)
PTHREAD_ATTR_SETGUARDSIZE(3) Linux Programmer's Manual PTHREAD_ATTR_SETGUARDSIZE(3)

名前

pthread_attr_setguardsize, pthread_attr_getguardsize -スレッド属性オブジェクトの guard size 属性の設定/取得を行う

書式


#include <pthread.h>


int pthread_attr_setguardsize(pthread_attr_t *attr, size_t guardsize);
int pthread_attr_getguardsize(pthread_attr_t *attr, size_t *guardsize);

 


-pthread でコンパイルしてリンクする。

説明

pthread_attr_setguardsize() 関数は、 attr が参照するスレッド属性オブジェクトの guard size 属性を guardsize で指定された値に設定する。
 
guardsize が 0 より大きい場合、 attr を使って新しく作成された各スレッドに対して、システムはスレッドのスタックの末尾に少なくとも guardsize バイトの追加領域を割り当てる。この追加領域はスタックに対するガード領域として機能する (ただし「バグ」の節も参照)。
 
guardsize が 0 の場合、 attr を使って新しく作成されたスレッドはガード領域を持たない。
 
デフォルトの guard size はシステムのページサイズと同じである。
 
( pthread_attr_setstack(3) や pthread_attr_setstackaddr(3)を使って) attr でスタックアドレス属性が設定されている場合には、呼び出し側がそのスレッドのスタックを割り当てていることを意味するので、guard size 属性は無視される (すなわち、システムによるガード領域の作成は行われない)。この場合、スタックオーバーフローが起こらないように対処するのはアプリケーション側の責任となる (おそらく mprotect(2) を使って、割り当てられたスタックの最後に手動でガード領域を定義することになるだろう)。
 
pthread_attr_getguardsize() は、スレッド属性オブジェクト attr の guard size 属性を guardsize が指すバッファに入れて返す。

返り値

成功すると、これらの関数は 0 を返す。エラーの場合、0 以外のエラー番号を返す。

エラー

POSIX.1-2001 では、エラー EINVAL
attrguardsize が無効な場合に対して規定されている。 Linux では、これらの関数は常に成功する (ただし、移植性や将来も動作することを保証したいアプリケーションでは正のエラーの返り値を処理するようにすべきである)。

バージョン

これらの関数は glibc バージョン 2.1 以降で提供されている。

準拠

POSIX.1-2001.

注意

ガード領域は、読み出し/書き込みアクセスが行われないように保護がかけられた仮想メモリページで構成で構成される。スレッドがスタックをガード領域までオーバーフローさせた場合、ほとんどのハードウェアアーキテクチャでは、スレッドに SIGSEGV シグナルが送られ、オーバーフローが発生したことが通知される。ガード領域はページ境界から開始され、ガード領域の大きさはスレッド作成時に内部的にシステムのページサイズに切り上げられる (その場合も pthread_attr_getguardsize() では pthread_attr_setguardsize() で設定された guard size が返される)。
 
多くのスレッドを作成するアプリケーションで、かつ、スタックオーバーフローが決して発生しないことが分かっている場合には、guard size を 0 に設定することで、メモリを節約できることもある。
 
スレッドがスタックに大きなデータ構造を割り当てる場合には、スタックオーバーフローを検出するためには、デフォルトサイズよりも大きな guard size を選ぶ必要があるかもしれない。

バグ

glibc 2.8 の時点では、 NPTL スレッド実装ではガード領域はスタックサイズで割り当てられる領域の中に含まれている。一方、POSIX.1 では、スタックの末尾に追加の領域を割り当てることが求められている。 (このため、ガード領域が大きすぎて、実際のスタック用の場所がなくなってしまう場合、 pthread_create(3) で EINVAL エラーが発生することになる。)
 
廃止予定の LinuxThreads 実装では、 POSIX.1 で求められている通りの動作で、ガード領域がスタックの末尾に追加の領域が割り当てられる。

pthread_getattr_np(3) を参照。

関連項目

mmap(2), mprotect(2), pthread_attr_init(3), pthread_attr_setstack(3), pthread_attr_setstacksize(3), pthread_create(3), pthreads(7)

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.51 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。
2008-10-24 Linux