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HLFSD(8)
HLFSD(8) FreeBSD System Manager's Manual HLFSD(8)

名称

hlfsdホームリンクファイルシステムデーモン

書式

hlfsd [ -fhnpvC][ -a alt_dir][ -c cache-interval][ -g group][ -i reload-interval][ -l logfile][ -o mount-options][ -x log-options][ -D debug-options][ -P password-file][ linkname [ subdir]]

解説

hlfsd ユーティリティは、ユーザのホームディレクトリ内のサブディレクトリを指すシンボリックリンクを含むファイルシステムを実装したデーモンです。そのリンクはアクセスしたユーザに応じて変化します。これは主に、到着したメールをユーザのホームディレクトリにリダイレクトし、どこからでも読めるようにするために設計されました。

hlfsd ユーティリティは、 linkname を含むディレクトリ (デフォルトは /hlfs/home) に対する NFS サーバとして自分自身をマウントして動作します。このディレクトリに対する検索 (lookup) は hlfsd が処理し、その検索をどのように解決するかを決定するためにパスワードマップを使います。ディレクトリは、存在しなかった場合には作成されます。シンボリックリンクは、それをアクセスしたユーザのホームディレクトリに subdir をつけたものになります。 subdir が指定されなかった場合の、 subdir のデフォルトは .hlfsdir です。このディレクトリも、存在しなかった場合には作成されます。

hlfsd に送られた SIGTERM によってシャットダウンを引き起こします。 SIGHUP は、内部キャッシュをフラッシュして、パスワードマップを再ロードします。また、オリジナルのログファイルが削除されるか、またはローテートすることを有効にするために、ログファイルをクローズして、再オープンされます。 SIGUSR1 によって、ユーザ ID とホームディレクトリの内部のテーブルをファイル /usr/tmp/hlfsd.dump.XXXXXX にダンプします。

オプション

-a alt_dir
代わりのディレクトリです。ユーザのホームディレクトリにアクセスできない場合に、 hlfsd が返すシンボリックリンクが指すディレクトリの名前です。デフォルトは /var/hlfs です。このディレクトリは存在しなければ作成されます。ユーザがこのファイルを読む、またはシステム管理者がこの“lost mail”をその所有者に送り直すスクリプトを走らせるということが期待されます。
-c cache-interval
キャッシュする間隔です。 hlfsd ユーティリティは、この間隔 (秒単位) でホームディレクトリの有効性をキャッシュします。 cache-interval 秒以内に確認されたことのあるエントリは再確認されません。それは、その操作のコストが高く、そのエントリがまだ有効であることが十分に期待できるからです。その間隔がたつと、 hlfsd はユーザのホームディレクトリの有効性をふたたび確認し、キャッシュのタイムカウンタをリセットします。デフォルトの cache-interval は 300 秒 (5 分) です。
-f
高速に起動させます。 hlfsd マウントディレクトリ、代わりのスプールディレクトリ、マウントディレクトリ下に隠れているシンボリックリンクが存在すること、そのパーミッション、そしてその有効性といった起動時の一貫性チェックを、このオプションが与えられたときにはスキップします。
-g group
特殊グループ HLFS_GIDgroup に設定します。 comsat(8) (ほかのユーザのメールボックスにアクセスする) といったプログラムは正常に動作するためには HLFS_GID に setgid しておかねばなりません。デフォルトのグループは“ hlfs”です。グループが与えられなくて、“ hlfs”というグループが存在しないなら、この機能は無効になります。
-h
ヘルプです。短いヘルプメッセージを表示し、終了します。
-i reload-interval
マップを再読み込みする間隔です。 reload-interval 秒ごとに hlfsd は、パスワードマップを再読み込みします。 hlfsd ユーティリティは、ユーザ ID とホームディレクトリのパスを知るために、パスワードマップが必要です。 hlfsd ユーティリティは、 SIGALRM を用いてパスワードマップを再読み込みします。 SIGHUP を送ると、 hlfsd は、マップをすぐに再読み込みします。 reload-interval のデフォルトは 900 秒 (15 分) です。
-l logfile
hlfsd がイベントを記録するログファイルを指定します。 logfile が文字列“ syslog”であれば、 syslog(3) によって、システムログデーモンに LOG_DAEMON ファシリティでログメッセージが送られます。これはデフォルトです。
-n
確認しません。 hlfsd ユーティリティは、返すシンボリックリンクの有効性、またユーザのホームディレクトリにスプールするために十分なディスクスペースがあることを確認しません。これによって、 hlfsd は、現在アクセスできないか、容量がいっぱいであるホームディレクトリへのシンボリックリンクを返すかもしれないという犠牲を払って、スピードアップします。デフォルトで、 hlfsd はバックグラウンドでシンボリックリンクを確認します。キャッシュは必要ないので、 -n オプションは -c オプションの意味を無効にします。
-o mount-options
マウントオプションです。 hlfsddirname のトップで、自分自身をマウントするために使われるマウントオプションです。デフォルトで、 mount-options は、“ ro”に設定されています。システムがシンボリックリンクのキャッシュをサポートしているのなら、デフォルトオプションは、“ ro,nocache”に設定されます。
-p
PID を印刷 (表示) します。ファイルに保存できるように、標準出力に hlfsd のプロセス ID を出力します。
-v
バージョンです。標準エラー出力にバージョン情報を出力します。
-x log-options
実行時にログをとるためのオプションを指定します。このオプションは、次から選択されたコンマで区切られたリストです: fatal, error, user, warn, info, map, stats, all
-C
NFS attribute-cache を無効にできないシステムで hlfsd を実行させます。メールが失われたり、誤配送されることになりかねないので、そのようなシステムで、このオプションを用いることは推奨されていません。 attribute-cache を無効にできるシステムではこのオプションは無視されます。
-D debug-options
いろいろなデバッグオプションを選びます。オプションの接頭辞として“ no”という文字列がついていると、そのオプションの効果を反転させます。オプションは追加されます。もっとも便利なオプションは“ all”です。このオプションはデバッグのためだけに使われるので、そのほかのオプションはここには記しません。より詳細な解説はプログラムのソースにあります。 SIGUSR1 を送ると hlfsd は、内部パスワードマップを /usr/tmp/hlfsd.dump.XXXXXX にダンプします。
-P password-file
password-file からユーザ名、ユーザ ID、ホームディレクトリの情報を読みます。通常 hlfsd は、 getpwent(3) でパスワードのデータベースを読みます。このオプションによりデフォルトのデータベースを無効にすることができ、ホームディレクトリ以外にユーザのメールをマップしたいときに便利です。 password-file のユーザ名、ユーザ ID、ホームディレクトリのフィールドだけを読み、チェックします。ほかのすべてのフィールドは無視されます。そうでなければ、ファイル password-file は、 UNIX System 7 のコロン区切りのフォーマット passwd(5) に従わなければなりません。

関連ファイル

/hlfs
hlfsd が自分自身をマウントし、シンボリックリンク home を処理するディレクトリです。
.hlfsdir
ユーザのホームディレクトリ内のデフォルトのサブディレクトリで、 hlfsd が返したシンボリックリンク home のリンク先です。
/var/hlfs
ユーザのホームディレクトリがアクセスできるかどうか確認できないときの、 hlfsd が返したシンボリックリンク home のリンク先です。

関連項目

mail(1), getgrent(3), getpwent(3), mtab(5), passwd(5), amd(8), cron(8), mount(8), sendmail(8), umount(8) HLFSD: Delivering Email to Your $HOME, Proc. LISA-VII, The 7th Usenix System Administration Conference, November 1993.

“am-utils” info(1) エントリ。 Erez Zadok, Linux NFS and Automounter Administration, Sybex, 2001, ISBN 0-7821-2739-8.

http://www.am-utils.org/

歴史

hlfsd ユーティリティは FreeBSD 3.0 で登場しました。

作者

Erez Zadok <ezk@cs.sunysb.edu>, Computer Science Department, Stony Brook University, Stony Brook, New York, USA.

Alexander Dupuy <dupuy@smarts.com>, System Management ARTS, White Plains, New York, USA.

am-utils の他の作者と貢献者は、am-utils で配布された AUTHORS ファイルにリストされています。

January 2, 2006 FreeBSD