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XL(4)
XL(4) FreeBSD Kernel Interfaces Manual XL(4)

名称

xl3Com Etherlink XL および Fast Etherlink XL イーサネットデバイスドライバ

書式

このドライバをカーネルにコンパイルするためには、次の行を利用者のカーネル設定ファイルに置きます:

device miibus
device xl

もう一つの方法として、ブート時にモジュールとしてドライバをロードするためには、次の行を loader.conf(5) に置きます:

if_xl_load="YES"

解説

xl ドライバは、3Com "ブーメラン (boomerang)"、"サイクロン (cyclone)"、 "ハリケーン (hurricane)"と "トルネード (tornado)"バスマスタ Etherlink XL チップに基づく PCI イーサネットアダプタと組み込みまれたコントローラのサポートを行ないます。

Etherlink XL チップは、外部に取り付けられた PHY トランシーバのための MII バスと同様に内蔵の 10baseT、10base2、と 10base5 トランシーバをサポートします。 3c905 シリーズは、全二重または半二重で 10/100 Mbps をサポートする National Semiconductor NS 83840A 10/100 PHY を通常使用します。 3c905B アダプタは、以前のドライバとの互換性のために MII 上にマップされた内蔵の自動ネゴシエーションロジックを持っています。 3c905-TX や 3c905B-TX のような Fast Etherlink XL アダプタは、全二重または半二重のどちらかで 10Mbps または 100Mbps のデータレートの能力があり、サポートされたモードを手動で設定するか、接続相手の最高で最善のモードを自動ネゴシエーションすることができます。

xl ドライバは、次のメディアタイプをサポートします:

autoselect
メディアタイプとオプションの自動選択を有効にします。このオプションが外部の PHY か内蔵の自動ネゴシエーションロジックがある 3c905 と 3c905B アダプタでのみ利用可能であることに注意してください。 3c900 アダプタでは、ドライバは、EEPROM で指定されたモードを選びます。ユーザは、メディアオプションを /etc/rc.conf ファイルに追加することによってこれを変更できます。
10baseT/UTP
10Mbps オペレーションを設定します。 mediaopt オプションも 全二重 または 半二重 モードのいずれかを選択するために使用できます。
100baseTX
100Mbps (ファーストイーサネット) オペレーションを設定します。 mediaopt オプションも 全二重 または 半二重 モードのいずれかを選択するために使用できます。
10base5/AUI
(COMBO カードだけで利用可能な) AUI トランシーバを有効にします。
10base2/BNC
(COMBO カードだけで利用可能な) BNC coax トランシーバを有効にします。

xl ドライバは、次のメディアオプションをサポートします:

full-duplex
全二重オペレーションを強制的に設定します。
half-duplex
半二重オペレーションを強制的に設定します。

このアダプタでサポートされている場合のみ 100baseTX メディアタイプが利用可能であることに注意してください。このデバイスの設定についてのより詳しい情報については、 ifconfig(8) を参照してください。

ハードウェア

xl ドライバは、次のハードウェアをサポートします:

  • 3Com 3c900-TPO
  • 3Com 3c900-COMBO
  • 3Com 3c905-TX
  • 3Com 3c905-T4
  • 3Com 3c900B-TPO
  • 3Com 3c900B-TPC
  • 3Com 3c900B-FL
  • 3Com 3c900B-COMBO
  • 3Com 3c905B-T4
  • 3Com 3c905B-TX
  • 3Com 3c905B-FX
  • 3Com 3c905B-COMBO
  • 3Com 3c905C-TX
  • 3Com 3c980, 3c980B と 3c980C サーバアダプタ
  • 3Com 3cSOHO100-TX OfficeConnect アダプタ
  • 3Com 3c450 HomeConnect アダプタ
  • 3Com 3c555, 3c556 と 3c556B mini-PCI アダプタ
  • 3Com 3C3SH573BT, 3C575TX, 3CCFE575BT, 3CXFE575BT, 3CCFE575CT, 3CXFE575CT, 3CCFEM656, 3CCFEM656B と 3CCFEM656C, 3CXFEM656, 3CXFEM656B と 3CXFEM656C CardBus アダプタ
  • 3Com 3c905-TX, 3c905B-TX 3c905C-TX, 3c920B-EMB と 3c920B-EMB-WNM 組み込みアダプタ

CardBus カードの 3C656 ファミリと MiniPCI カードの 3C556 ファミリの両方には、内蔵の独自のモデムがあります。 xl ドライバもいかなる他の FreeBSD ドライバもそののモデムをサポートしません。

診断

xl%d: couldn't map memory
致命的な初期化エラーが生じました。
xl%d: couldn't map interrupt
致命的な初期化エラーが生じました。
xl%d: device timeout
デバイスは、ネットワークに応答することを停止したか、あるいは、ネットワーク接続 (ケーブル) に関して問題があります。
xl%d: no memory for rx list
ドライバは、受信リングのための mbuf の割り付けに失敗しました。
xl%d: no memory for tx list
パッドバッファを割り付けるか、クラスタへ mbuf チェーンを折りたたむ場合、ドライバは、送信リングのための mbuf の割り付けに失敗しました。
xl%d: command never completed!
3c90x ASIC へ発行されたいくつかのコマンドは、次を完了するために時間がかかります: ドライバは、継続する前にステータスレジスタの 'コマンド実行中' のビットがクリアされるまで待つことになっています。まれな事例では、このビットは、クリアされないことがあります。無限の待ちループに陥るのを避けるために、ドライバは、あきらめる前に有限回数だけビットをポーリングし、その時点でメッセージを出力します。このメッセージは、低速のマシンでドライバの初期化中に印刷されるかもしれません。利用者がこのメッセージを見ても、ドライバが正常に機能し続けるなら、たぶんメッセージを無視することができます。
xl%d: chip is in D3 power state -- setting to D0
このメッセージは、パワーマネージメントをサポートする 3c905B アダプタだけにあてはまります。いくつかのオペレーティングシステムは、シャットダウンするとき、3c905B を低消費電力モードにし、いくつかの PCI BIOS は、それを設定する前に、この状態でチップを明らかにすることに失敗します。 3c905B は、D3 状態で PCI 設定のすべてを失うので、BIOS が時間内にそれをフルパワーモードに戻せない場合、正しくそれを設定することができません。ドライバは、この状態を検出して、D0 (フルパワー) 状態にアダプタを戻しますが、これは、ドライバを完全な操作状態に復帰するためには十分ではありません。利用者がブート時にこのメッセージを見つけ、ドライバがネットワークインタフェースとしてデバイスのアタッチに失敗した場合、利用者は、デバイスを適切に設定させるために 2 つ目のウォームブートを実行しなければなりません。

この状態は、別のオペレーティングシステムからウォームブートするときのみ生じることに注意してください。 FreeBSD をブートする前に利用者のシステムをパワーダウンする場合、カードは、正しく設定されるはずです。

xl%d: WARNING: no media options bits set in the media options register!
3c905-TX アダプタを内蔵したいくつかの Dell Latitude ドッキングステーションでドライバを使用するとき、この警告が現れるかもしれません。理由が何であっても、それは、設定されるべきですが、この特定の機器でもメディアオプションレジスタの 'MII 利用可能' ビットは、設定されません (3c905-TX は、常に外部 PHY トランシーバを使用します)。ドライバは、PCI デバイス ID ワードに基づいて適切なメディアタイプの推測を試みます。作者は、それが製造上の欠陥であると考えるので、ドライバは、この状態について多くのノイズ (訳注: メッセージ) を出します。
xl%d: transmission error: %d
xl%d: tx underrun, increasing tx start threshold to %d bytes
このメッセージは、ほとんど害はありませんが、アダプタが様々なロード量の下で転送バッファを調整している間に現れます。それらを無視してもたぶん安全です。

歴史

xl デバイスドライバは、 FreeBSD 3.0 ではじめて登場しました。

作者

xl ドライバは、 Bill Paul <wpaul@ctr.columbia.edu>によって書かれました。
January 23, 2008 FreeBSD