CHIO(1) | FreeBSD General Commands Manual | CHIO(1) |
名称
chio — メディアチェンジャ制御ユーティリティ書式
chio | [ -f changer] command [ -<flags>] arg1 arg2 [ arg3 [ ...]] |
解説
chio ユーティリティは、テープや光ディスクなどのジュークボックスに見られるようなメディアチェンジャの動作を制御するために使われます。オプションには以下のものがあります:
- -f changer
- デフォルトの /dev/ch0 デバイスのかわりに changer を使用します。
環境変数 CHANGER にデバイス名をセットしておくと、それをデフォルトのチェンジャとして使用することができます。
メディアチェンジャ装置は複数の element から成り立っています。 element には 5 種類あり、それぞれ picker (メディア搬送)、 slot (保管)、 portal (出し入れ)、 drive (データ転送)、 voltag (ボリューム識別子の選択) です。 voltag 擬似 element タイプは、ボリュームタグ (典型的にはテープ上のバーコード) によるテープの選択を可能にします
このコマンドの解説では省略形 ET で element の種類を表し、 EU で element の装置番号を表します。たとえば、チェンジャ内の一つめのロボットアームを表現する場合には、 ET は“picker”となり、 EU は“0”となります。
サポートされるコマンド
- move <from ET> <from EU> <to ET> <to EU> [ inv]
- メディアユニットを <from ET/EU> から <to ET/EU> へと移動します。オプションの修飾子 inv が指定された場合は、挿入前にメディアユニットが裏返されます。
- exchange <src ET> <src EU> <dst1 ET> <dst1 EU> [ <dst2 ET> <dst2 ET>][ inv1][ inv2]
-
メディアユニットの交換作業をおこないます。
<src ET/EU> にあるメディアユニットは
<dst1 ET/EU> に移され、以前に
<dst1 ET/EU> にあったメディアユニットは
<dst2 ET/EU> に移されます。単純に交換する場合には、
<dst2 ET/EU> を省略すると
<src ET/EU> が代りに使われます。オプションの修飾子
inv1 や
inv2 が指定された場合には、それぞれ
<dst1 ET/EU> や
<dst2 ET/EU> への挿入前にメディアユニットが裏返されます。
すべてのメディアチェンジャが exchange 操作をサポートしているわけではないことに注意してください。 exchange 操作のためには、チェンジャが複数の空き picker を持っているか、一時的な保管場所を用いて複数の空き picker をエミュレートする必要があります。
- return <from ET> <from EU>
- メディアユニットを、元の element へ返します。このコマンドは、指定したメディアユニットの状態を問い合わせ、そのソース属性に記述されている element へとメディアユニットを移動します。この方法は、ドライブやポータルからチェンジャ内の元の element へメディアを戻すのに便利です。
- position <to ET> <to EU> [ inv]
-
picker を
<to ET/EU> で指定した element の前に配置します。もしオプションの修飾子
inv が指定された場合は、挿入前にメディアユニットが裏返されます。
このコマンドを発行しても、すべてのチェンジャが期待通りの動作をするとは限らないことに注意してください。
- params
- チェンジャ内の slot, drive, picker, portal の数と、現在どの picker が使用可能になっているかを報告します。
- getpicker
- 現在どの picker が使用可能になっているかを報告します。
- setpicker <unit>
- <unit> 番の picker を使用可能にします。
- ielem [ <timeout>]
- チェンジャに対して element の状態の初期化 (INITIALIZE ELEMENT STATUS) の操作を行います。オプションとして <timeout> パラメータを指定して、操作がタイムアウトする秒数を指定可能です。ファームウェアのバグなどのために、操作に異常に長い時間がかかる場合に使用できます。
- voltag [ -fca] <ET> <EU> [ <label>][ <serial>]
-
メディアチェンジャ内の element に対するボリュームタグを変更します。少数のメディアチェンジャのみ、本コマンドをサポートします。デバイスがサポートしていない場合に本コマンドを使用すると、通常、コンソールに "Invalid Field in CDB"というエラーが表示されます。
-c フラグを指定すると、指定した element のボリュームタグをクリアします。 -f フラグを指定すると、 element に対して既にボリュームタグが定義されていたとしても、指定したボリュームタグでボリュームタグを置き換えます。ボリュームタグ情報が既に定義されている element に対し、 -f フラグを指定せずにラベルを設定しようとすると、エラーとなります。
本コマンドはプライマリボリュームタグに対して作用しますが、 -a フラグを指定すると、代替ボリュームタグに対して作用します。
- status [ -vVsSbIa][ <type>]
- チェンジャ内のすべての element の状態を報告します。もし <type> が指定されていると、 <type> 型の element の状態を報告します。
- -v
- ロードされている各メディアに対し、存在すればプライマリボリュームタグを表示します。ボリュームタグは“<LABEL:SERIAL>”のように表示されます。
- -V
- 存在すれば代替ボリュームタグを表示します。
- -s
- 各 element に対し、追加のセンスコードと、追加のセンスコード修飾子を表示します。
- -S
- 各 element に対し、element のソースアドレスを表示します。
- -b
- 各 element に対し、SCSI バス情報を表示します。この情報は、ドライブに対してのみ有効です。
- -I
- 各 element に対し、内部 element アドレスを表示します。通常、本ドライバは内部 element アドレスを使用しません。診断目的でのみ、表示を行います。
- -a
- すべての追加情報を表示します ( -vVsSba を指定したのと同じ)。
ステータスビットは以下のように定義されています:
- FULL
- element にメディアユニットが入っています。
- IMPEXP
- 外部の人間の操作により element にメディアが挿入されました。
- EXCEPT
- element が異常な状態になっています。
- ACCESS
- この element 内のメディアは picker でアクセス可能です。
- EXENAB
- element は外部の人間の操作によるメディアの取り出しが可能です。
- INENAB
- element は外部の人間の操作によるメディアの挿入が可能です。
関連ファイル
- /dev/ch0
- デフォルトのチェンジャデバイス
使用例
-
chio move slot 3 drive 0
- スロット 3 (4 番目のスロット) のメディアをドライブ 0 (1 番目のドライブ) に移動させます。
-
chio move voltag VOLUME01 drive 0
- バーコード VOLUME01 を持つメディアをドライブ 0 (最初のドライブ) に移動させます。
-
chio return drive 0
- テープをドライブ 0 (最初のドライブ) から取り除き、これをラックの元の場所へ返します。
-
chio setpicker 2
- チェンジャが picker 2 (3 番目の picker) を作業に使用するように設定します。
作者
chio プログラムと SCSI チェンジャドライバは、 And Communications 社 http://www.and.com/ の <thorpej@and.com>によって書かれました。さらに
<hans@artcom.de>と <csg@waterspout.com>が作業を行いました。May 14, 1998 | FreeBSD |