はんしちとりものちょう 64 まわりどうろう |
半七捕物帳 64 廻り灯籠 |
冒頭文
一 「いつも云うことですが、わたくし共の方には陽気なお話や面白いお話は少ない」と、半七老人は笑った。 「なにかお正月らしい話をしろと云われても、サアそれはと行き詰まってしまいます。それでも時時におかしいような話はあります。もちろん寄席の落語を聴くように、頭から仕舞いまでげらげら笑っているようなものはありません。まあ、その話に可笑味(おかしみ)があるという程度のものですが、それでもおかしいと云え
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 時代推理小説 半七捕物帳(六)
- 光文社時代小説文庫、光文社
- 1986(昭和61)年12月20日